2020年2月29日

地域からつくる反ヘイト運動―2.29シンポジウ ム(報告)
 それぞれの地域に、それぞれの反ヘイトの闘い。各地域の皆さんに一堂に会していただいてお話を伺いながら交流を深める場として、今回の集会を企画しました。
 川崎・相模原・墨田・練馬の4つの地域です。「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」「反差別相模原市民ネットワーク」「東京都総合防災訓練に反対する荒川―墨田―山谷&足立実行委」「ヘイトスピーチ許さない・練馬」の4団体です(以下、便宜上地域名でご紹介させていただきます)。
 当り前のことですがそれぞれの地域で課題・闘いの組み方等が違ってきます。
 在日コリアンの集住地区がある川崎では、地域で執拗に繰り返されるヘイトデモ・街宣・集会を止めさせる各種の取り組みが、罰金規定も含んだ「差別禁止条例」の制定へと集約されて、これを実現させています。
相模原では、「在日特権を許さない市民の会」が衣替えをした「日本第一党」が、2019年の統一地方選で、ここを重点地域として選挙活動を行ないました。これに対して、「落選運動」で議会進出を阻止する闘いに取り組みました。
 墨田は、関東大震災時に朝鮮人虐殺が行なわれた地区であり、最近は毎年9月1日に行なわれている朝鮮人犠牲者追悼式に対してレイシストがこれを潰そうという策動を仕掛けてきています。台風の時に野宿者を避難所から排除するというような事件もあり、災害時の排外主義をどのように撃ち返していくかという問題意識が闘いの原動力になっています。
 練馬は、「日本第一党」が区役所本庁舎内に会場を借りて講演会を行ない、抗議する市民に対して警察が出動してこれを守るという事態から闘いが始まりました。区に対して実効性のあるヘイト対策の実施を求めています。
 それぞれの地域で、取り組みの課題や運動の組み方に違いはあっても、たとえば行政や議会に反ヘイトの取り組みを働きかけていることは共通しています。ヘイトをやめさせる実効性のある制度を作りたいということです。そのために、行政・議会への働きかけが課題になっていることがわかりました。
 一方、どの地域でも、市民とのつながりを作ることを大きな課題にして、集会や学習会を積み重ねています。それと、各地域の現場でカウンターがヘイトを抑えたことが、ヘイトデモの減少につながったという指摘や、カウンターをきっかけにして運動体ができた地域の話など、ヘイト現場での闘いが重要であることが理解できました。
 それらがすべて合わさって、各地域で「社会的包囲網」が構築されていったことが、今回のシンポジウムでリアルに認識することができました。
そして安倍政権とどう対峙していくかという点。戦前の植民地支配を清算していないことが現在のヘイトの原因であること、ネット・テレビを通じて排外主義が拡散されていることなどが指摘されて、政府の政策全体を撃っていくことの重要性が4地域の皆さんから指摘されました。

 

 シンポジウムの後に連帯アピールをしていただいた方々のお話が、まさにその関連で重要でした。朝鮮学校無償化連絡会、渋谷で野宿者運動を行っている方、右翼団体による朝鮮人犠牲者追悼式典破壊の攻撃と闘う方の3組の方です。国家による民族差別、歴史清算問題、地域における住民監視の問題と重層的な課題が浮かび上がって、集会を終えました。
 コロナウイルスによる「自粛ムード」の中で開催した集会でしたが、64名の方の参加がありました。                      
(以上)

 

 なお、当日参加できなかった方には資料集を実費(送料込みで500円)にてお送りさせていただきます。 詳しくは riteihyo@gmail.comまでお問合せください

2020年02月29日|東京:地域からつくる反ヘイト運動―2.29シンポジウム